8. 自分で申請する?行政書士に依頼する?①

風俗営業許可は、行政書士に依頼せず、自分で申請することも可能です。自分で手続きを行えば行政書士への報酬を抑えられる一方、必要書類の収集や店舗の測量、平面図・周囲の略図の作成、警察署との事前相談、申請後の補正対応などを自分で行わなければなりません。特に風俗営業許可は、物件や店舗の構造・設備が許可基準に適合しているかの確認が重要です。ここでは、自分で申請する場合の流れと注意点を解説します。

8-1. 風俗営業許可を自分で申請する場合

風俗営業許可は、行政書士などの専門家に依頼しなければ申請できない制度ではありません。営業者本人が必要書類を準備して、営業所を管轄する警察署へ申請することもできます。

愛知県警察では、風俗営業の許可申請について、許可申請書のほか、営業の方法を記載した書類、営業所の使用権原を証明する書類、営業所の平面図・周囲の略図、住民票、誓約書、身分証明書などを必要書類として案内しています。法人の場合や管理者を選任する場合には、さらに追加書類が必要です。(愛知県警察)

自分で申請する場合の基本的な流れ

自分で申請する場合は、次のような流れで準備します。

① 営業形態を決める
↓
② 物件が営業可能か調査する
↓
③ 店舗の構造・設備を確認する
↓
④ 必要書類を集める
↓
⑤ 店舗を測量して図面を作成する
↓
⑥ 警察署へ事前相談する
↓
⑦ 風俗営業許可を申請する
↓
⑧ 警察による審査・実地調査
↓
⑨ 許可証の交付
↓
⑩ 営業開始

この中でも、特に時間と専門的な知識が必要になりやすいのが、物件調査と店舗図面の作成です。

必要書類を自分で準備する

愛知県警察が案内している主な必要書類は次のとおりです。

書類主な内容
許可申請書風俗営業許可を申請するための基本書類
営業の方法接客方法、営業時間など営業内容を記載
使用権原を疎明する書類賃貸借契約書や使用承諾書など
営業所の平面図店舗の構造・設備等を記載
周囲の略図営業所周辺の状況を示す図面
住民票の写し本籍または国籍記載のもの
身分証明書本籍地の市区町村長が発行するもの
誓約書欠格事由に該当しないこと等を確認
管理者関係書類管理者の住民票・身分証明書・写真等
法人関係書類定款、登記事項証明書、役員関係書類等

愛知県警察では、添付書類について、原則として申請日から3か月以内に発行・作成されたものを用意するよう案内しています。(愛知県警察)

書類を集めるだけなら自分でも対応できますが、注意したいのは、それぞれの書類の内容が実際の店舗や営業形態と一致していることです。

最も難しいのが「店舗図面」の作成

自分で申請する場合、特に難易度が高くなりやすいのが店舗の平面図です。

風俗営業許可では、単なる不動産会社の間取り図を提出すればよいわけではありません。

店舗の実際の状況を確認したうえで、

  • 客室の位置・面積
  • 客室とその他の部分の区分
  • 出入口
  • カウンター
  • 間仕切り
  • 照明設備
  • 音響設備
  • その他の設備
  • 店舗全体の寸法

などを適切に図面へ反映する必要があります。

さらに、営業所周辺の略図についても、保全対象施設との関係を確認するための資料となります。

そのため、「図面を書くのが得意だから簡単に作れる」と考えるのは危険です。

実際の店舗を正確に測量し、許可基準を確認したうえで図面を作成する必要があります。

物件調査を省略しない

自分で申請するときに最も避けたいのが、物件を先に契約してしまい、後から許可が難しいことが分かるケースです。

風俗営業では、営業できる地域や保全対象施設との関係、店舗の構造・設備などを確認する必要があります。

そのため、

「駅から近いから大丈夫」
「前のテナントがスナックだったから大丈夫」
「居抜き物件だから許可を取れる」

という判断だけで契約するのはおすすめできません。

特に居抜き物件であっても、以前の店舗が許可を受けていたことと、自分の営業について許可を取得できることは別問題です。

物件を契約する前に、用途地域、保全対象施設、店舗の構造・設備、営業形態などを確認しておきましょう。

自分で申請するメリット

自分で申請する最大のメリットは、行政書士への報酬を抑えられることです。

愛知県の風俗営業許可申請では、パチンコ店等を除く一般的な風俗営業の申請手数料は24,000円です。これは行政書士に依頼する場合でも必要となる公的な手数料です。(愛知県警察)

行政書士に依頼しなければ、この手数料以外の専門家報酬を抑えられます。

また、自分自身で申請することで、店舗の許可要件や必要な手続きについて理解を深められるというメリットもあります。

一方で「時間」と「手間」がかかる

自分で申請する場合は、行政書士に依頼する場合と比べて、次のような作業を自分で行う必要があります。

自分で行う作業注意点
物件調査用途地域や保全対象施設等を確認
店舗測量正確な寸法を測る必要がある
図面作成許可基準を踏まえて作成
書類収集個人・法人で必要書類が異なる
警察との相談不明点を自分で確認
申請書類一式を整えて提出
補正対応不備があれば修正・追加対応
実地調査対応店舗の状態と図面等の整合性を確認

特に初めて申請する場合は、「書類を集めて提出するだけ」という手続きではないことを理解しておく必要があります。

自分で申請する場合のチェックポイント

自分で風俗営業許可を申請する場合は、次の項目を確認してから進めるとよいでしょう。

  • □ 営業形態と必要な許可の種類を確認した
  • □ 物件が営業可能な地域か確認した
  • □ 保全対象施設を調査した
  • □ 店舗の構造・設備が基準を満たすか確認した
  • □ 店舗を実測した
  • □ 平面図・周囲の略図を作成した
  • □ 必要書類をすべて収集した
  • □ 書類の発行日・作成日を確認した
  • □ 営業内容と申請書類の内容が一致している
  • □ 警察署への事前相談を行った
  • □ 実地調査に対応できる状態にした

POINT

風俗営業許可を自分で申請することは可能ですが、「申請書を書けば終わり」という手続きではありません。

特に重要なのは、物件調査・店舗の測量・図面作成・営業形態の確認です。

また、愛知県警察ではオンライン申請に対応している手続きもありますが、申請の種類によっては原本の提出・提示、手数料の支払い、交付物の受け取りなどのため警察署への来署が必要です。すべての手続きがオンラインだけで完結するわけではありません。(愛知県警察)

「自分で申請できるか」だけでなく、開業までに必要な時間や、図面・物件調査まで自分で対応できるかを考えて判断することが大切です。

自分で申請する場合、費用を抑えられる一方で、準備に時間がかかったり、書類や図面の不備によって修正が必要になったりする可能性があります。初めて風俗営業許可を取得する場合は、自分で対応する部分と専門家へ依頼する部分を整理することも一つの方法です。

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